デジャブ・終わらない声

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飲食店をしたい女と、飲食店を廻るのだけが好きな男


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#A

飲食店をやりたい女と、飲食店を廻るのだけが、好きな男がいた。彼らは大学で、,同じ専攻を勉強する、同期だった。しかし、男はその大学に入る前に3浪し、女とは3歳差があった。女は都会で生まれ育ち、 男は田舎で生まれ育ち、大学に行くために、都会に出た。彼らに共通点はなかったが、”食”という共通の興味で、親しくなり、お互いを知ろうと努力した。女はいつか、飲食店を、やりたいと言い、男は将来そうしようと、女と、約束した。女は当然それを信じていた。学校を卒業し、男と女は、それぞれ別の都市に、就職することになった。女は会社を頑張ったが、適応するのが大変だった。

彼女は心の病を、抱えていた。それは彼女にとって秘密で、自分にも秘密にしておきたいと思い、知らないふりをして、生きていた。しかし、ごくたまに、その心の病が、自分を見てほしいと、彼女自身に、訴えることがあった。なぜか、彼女は、そのような声を、徹底的に無視した。そして時々は、絵を描いた。彼女は才能があり、頭も良かった。資格試験は、何でも一発で合格し、複数の資格を持っていた。しかし、彼女は幸せでは、なかった。

旅行がしたいと思って、女は男のところに、行くことにした。電話もせずに、飛行機に乗って、男のいる街へ、行った。冬の雪は強風に吹き飛ばされ、目を開けるのが、大変だった。空港で女は男に電話をかけ、男は嬉しそうに、迎えてくれた。女はこの男に、好かれることを望んでいるが、時々一緒にいると、疲れを感じるのだった。

男はグルメで、有名な場所に、女を連れて行った。人が多くて、順番を待たなければならないと、言われたが、女は疲れていた何となく休みたい気持ちが、先に立ったが、心の病がバレそうで、気をつけた。これは「自分は、絶対に問題がない。」という、女のプライドだった。男は女を楽しませようと、美味しいレストランや、有名なスポットに案内した。男はそんな自分に、満足していた。女は男の気配りと優しさに、感謝した。そしてその瞬間、女は愛されていると感じた。

長い時間を、この男と一緒に過ごしたことを、思い知らされた。飛行機に乗って、自分の住む街に戻り、女は激しい寂しさと、孤独を感じた。明日から会社の重要な、プロジェクトが始まる。
女は自分の任務が、重要であることを感じながらも、遠くへ行きたいと、思っていた。会社の他の同僚とも、問題なく過ごせていると、女は思っていた。
それでいながら、一緒に入社した同僚が、自分より上のポジションに、昇進するのを見て、女は、傷ついていた。だから今回のプロジェクトで、女は何かを見せなければならないという、プレッシャーを抱えていた。

#B

プロジェクトが始まったことで、彼女の日常は、変わり始めた。すべての私生活がなくなり、チームをサポートするために、努力した。疲れ果てた体と心に、彼女は苦しんだ。彼女は男に慰められたいと、電話をかけた。男は、言った。「会社生活なんて、そんなもんだ、頑張って自分の能力を、発揮してみろ。」と、言った。電話を切って、女は寂しいと思いながらも、すぐに心の病が、表に出てしまわないように気をつけようと、改めて決意する。

晴れた青空を見ながら、彼女はきれいだと思った。女はもう友達に、会うことはしないことにした。会うといつも、自分が負けているような、気持ちになることが、わかったからだ。競争もしていないのに、そんな気持ちになるのが、女は嫌だった。青い空を見ながら、女は男に、別れを告げた。付き合う意味がないと、彼女は思った。男は女に、飲食店を一緒にやるために、努力していると、説得した。彼女は男の言葉を、信じられなかったが、寂しかったので、信じるふりをした。何かがおかしくなっていると、彼女は思った。しかし、心の病がバレるのを恐れて、ただ顔を背けてしまう。彼女は会社の仕事に耐えられず、会社を辞めることになった。

男に電話をかけ、その事実を伝えた。男は苦労して入った会社を、女が簡単に辞めることに、失望した。しかし女を、愛していると、言った。女は寂しさと孤独に、その夜、布団の中で、長い間泣いた。女はカフェで、アルバイトを始めた。様々な料理を提供する、カフェだった。女は、少しずつ活気を、取り戻しつつあった。初めて仕事が楽しいと、思った。

ある日、彼女の家族である、母親と姉が、彼女を訪ねてきた。彼女は、家族の訪問を歓迎していなかったが、そんな素振りは、見せなかった。家族に、私は全く問題がないことを、示さなければならなかった。家族に会うと、女は辛かった。家族と話をすると、彼女はいつも、足りないところを、指摘されているような気がした。それが彼女を悲しませた。 だから彼女は家族と、連絡を取らないことにした。

男は女に、そうしないように言ったが、その理由には、興味がなかった。空を見て、白い雲が美しいと思いながら、彼女は、寂しい気持ちになった。そこで彼女は公園に行った。 すると一人の老人が近づいてきた。女は思わず、大泣きしてしまった。途切れることなく涙が溢れた。その姿を老人は何も言わずに、長い間見つめていた。女性が涙を止めると、老人は、微笑みながら大丈夫だと言った。そして、他のことを考えずに、女がやりたいことをやれと、言った。簡単なことなのに、私たちはそれを知らずに、生きているのだ、と言いながら、遠くへ行ってしまった。

#C

女は決意した。やりたいことを、やることに。女は陶器を作りたいと思い、陶芸教室に通い始めた。自分の作った陶器に食べ物を入れると思うと、幸せな気分になった。そして心の病を悟られないように、いつも努力した。女はピアノが、とても上手だった。しかし、人の前では決してピアノを、弾かなかった。女にとってピアノは、美しい音を奏でる楽器ではなく、競争する道具だったからだ。いつも女の姉が、自分よりピアノが上手だと、周りから褒められた。

少女は傷つき、誰も少女の傷を、知る人はいなかった。それでも大丈夫だと、女は思った。心の病が、バレなかったら、よかったと思った。女は家族と一緒にいると、自分が辛いと思った。だから、遠いところに行った。しかし、懐かしさというものが、女の心の奥底に、残っていた。女は寂しいと思った。

ただ青い空が、彼女を慰めていた。

女はいつから、飲食店を、やりたかったのか、思い出せなかった。時間は、そうやって過ぎていった。女は男に電話した。カフェで働くのが、楽しいと言った。男は、興味を持ってくれる風をしながら、自分の話と、仕事の大変さの話、ばかりした。そして電話の最後に、習慣のように、愛してると言った。女は知っていた。男がもう女を、愛していないことを。女は自分のために、生きなければならないと思った。心の病を隠しながら。

ある日、男が女を、訪ねてきた。女は突然の男の訪問に、少し嬉しい気持ちになった。男は昇進したと言って、喜んでいた。女も喜んでいる、ふりをした。しかし、女は寂しい気持ちに、なった。男は会社の話ばかりして、見つけたというレストランに、女を連れて行った。女は疲れを感じたが、心の病気なので、気をつけなければならないと、思った。しかし、女は疲れていた。家に帰りたかった。 誰もいないところに。その日は青い空も、彼女を慰めることが、できなかった。

#D

女は、熱心に陶器を焼いた。その瞬間は、誰にも干渉されず、自分の世界に没頭することができた。焼き上がった陶器を見ながら、女は少しだけ自由を、感じることができた。しかし、女の家族は,女の作った陶器を、.あまり評価しなかった。プロの仕上がりじゃないと、言われた。女にとって、予想通りの、反応だった。しかし今回、女は「陶器を焼くときが、幸せだ。」と、勇気を出して言った。それでも女の家族は、冷笑するだけだった。女は、また傷ついた。今度こそ、今いる場所から逃げださねば、と思った。男に電話で、別れたいと言った。そして青年海外協力隊に入り、外国に行く旨を伝えた。

女が読んだ本で、より広い世界を経験することで、偏見をなくすことが、できるという、シンプルな文章が、印象的だった。女は心の病を治したいと、初めて思うようになった。男が女に、電話をした。別れるのは嫌だ、と言った。男は女と、結婚したいと言った。レストランも一緒に開こうと、
簡単に、嘘をついた。女はそう言ってくれる男に、感謝した。しかし、それが愛ではないことを、女は知っていた。女はただ、孤独だった。一人で歩く方法を、どんどん忘れていることを、女は、無意識に感じていた。

都心の素敵なレストランで、優雅な姿で、男と女は結婚した。

女は男と一緒に暮らしながら、飲食店をするために、一生懸命、お金を稼ごうとした。しかし、女は心の病のために、多くのお金を、稼ぐことが、できなかった。男は大丈夫だと言いいながら、お金がないから、今すぐは、レストランをするのは、懸命じゃないと、諭し続けた。女は疲れていた。女は自分が何をしたいのか、さえもだんだん忘れていった。

男は、どんどん昇進していった。そして女は、自分が小さくなっている、と感じた。男は、世の中につらくないことはない、と言った。女は、傷ついた。そしてある瞬間から女の心の亀裂が、大きくなっていった。女はバレないよう、に努力した。何事も、ないように。そして誰かが大丈夫かと尋ねると、必要以上にに「大丈夫、何も問題ない。」と、力強く言っていた。

ある日、女は男に、他の女が、できたことを知った。それを知ったとき、女はなぜか、ショックよりも、来るべき時が来たように、その報を受けとった。それでありながら、もう一方で、今まで守ってきたものが、すべて崩れ去るような気がした。女は男を、愛していなかった。男も女を、愛していなかった。いや、愛などというものなど、はなから求めていた訳なんて、なかったじゃないか。

なぜ結婚したのか、女は、痛烈に後悔した。

#E

女は、そんな辛い日々を過ごしながら、アルバイトを頑張った。すべてがうまくいくことを願いながら、何事もなかったかのように、生活しようとした。男に他の女ができたことも、周囲に知られたくなかった。心の病を、知られたくないように。そして、このような愛でもない、男の心変わりは、かなり長く耐えられると、女は思っていた。傷つきながら合意が成立する、はずがないこと位、女は知っていた。だから、静かに無視したかった。 それでも、耐え難い孤独感に、女は悲しんだ。

ある日、男は女に離婚を、要求した。女は、男を恥知らずだと思いながら、離婚を拒否した。男の心が女から離れてしまったことは、わかっているが、こんな不条理に、自分が晒され、応じなきゃならない理由もない。そして、女の耳には、訳の分からない囁きが、聞こえ始めた。

ある日、男に、他の女ができたという事実が、世間に、知られるようになった。世の中の誰もが、彼女が可哀想だと、言い始めた。しかし、女はなぜか世間に知られたことに、傷ついた。可哀想になったという、自分に向けられる、人々の視線に、耐えられなかった。

男は非難されたが、平気な顔で、自分の仕事をこなしていった。女が受けた傷よりも、男は、自分が受けた非難に動揺した。男は、他の女と別れると言ったが、女は男の言葉を信じなかった。女は、ただ、自分のこのような状況から、抜け出したかった。女は知り合いのいない世界で、暮らしたいと、思うようになった。他の場所に行こうとすると、男は女をなだめようとした。女を愛していたわけではないが、問題を大きくしたくない、という信念を持っていた。

男は以前と同じように、女を連れて、またレストランを回ろうとした。イベントを作って、女を喜ばせようとした。しかし、女の心は、ずっと遠いところに行ってしまったので、もうイベントは、やめてほしいと、懇願した。

女は病気は、覆い隠せない状態になりつつあり、ささやきは絶え間なく、女を追いかけていた。しかし心の病を、この男に、絶対に見せたくないと思った。男は女の心の病を、いつからか、知っていたのかもしれない。配慮で知らんぷりしたのか、無関心だったのか、無知だったのかは、分からない。

男と女が出会って愛を始め、幸せを感じながら、人生を営んでいくのは、おとぎ話の中の話だと、女は思う。愛が与える幸せを、女は断念しながら、そうでない人生にも、良い意味があるだろうと、信じながら生きたかった。女は、青い空を見て慰められたいと思ったが、あまりにも疲れていた。そして、男に「離婚しよう、もう、男に同じ夢を見ようとは、言わない。」と、言った。「私たちは、最初から違う道を歩んでいたのだ。」と女は、男に言いながら、泣いた。

女の耳元で、囁きが聞こえてきた。女はその音を振り払おうと、首を振った。心の病を隠したい女が、男から離れようとした。

#F

ここに到るまでに、女は二度の自殺を試みたが、それは、未遂に終わった。女の断固たる決意に、男は離婚しないことを条件として、女が別の地域で、生活することに同意した。二人の間には、崩すことのできない、厚く陰鬱な壁ができたが、それでも男は女と、離婚しなかった。男は女を理解できず、女は男を信用しなかった。

女は新しい都市に来て、新しいアルバイトを探し始めた。もっと高い時給の、仕事をしなければならないと思い、自分に、興味のない仕事を始めた。「大丈夫だ。」と自分に言い聞かせながら、頑張ろうとした。女は自分の計画よりも強い運命と、戦っているような気がしていた。運命が、自分に勝てないと、女を嘲笑っているようだった。女は陶器を焼きながら、自分のやり方を見つけて、生きていこうとした。

男は月末に、女を訪ねた。義務感だと思う男を見て、女は少し慰められるが、女は男を、信じなかった。女は自分の耳に、いつも聞こえてくる、ささやきが邪魔だと思った。そのため彼女は、耳栓を耳に装着した。心の病を悟られないように。もっと、注意が必要だと、女は思った。ただ、疲れ果てて、きてもいた。ベンチに座って、青い空を見ながら、女は自分にも、夢があったことを思い出した。「どこへ行ったのだろう、私の夢は・。」耳の奥底から、ささやきが聞こえてきた。

女は目を閉じ、風が彼女の頭上を通り過ぎる。束の間、平和だと思う瞬間だった。不思議の国のアリスのチェシャ猫が、自分を訪ねてきて、くれたらいいのに、と女は初めて思った。「歩き続ければ、必ずどこかにたどり着ける。」と、疲れた女にとって、小さな希望のように感じたからだ。耳に聞こえるささやきが、ひどくなってきたと、女性が勇気を出して言うと、男は女を連れて、海外旅行に行くことを、提案した。男は仕事で頻繁に海外に行き、女はお金を節約しなければならない、という理由で、海外には、行かなかった。今回、女は男の提案を受け入れ、二人は海外旅行に行った。男は女と、仲が良くなっていると思ったが、女は男を、信用していなかった。

女は一生懸命、陶器を焼いた。彼女の才能は輝いていたが、彼女の視線は薄れ、疑いの、眼差しになっていた。女は繰り返される、自分の感情の起伏に、苛立ち、怒りを覚えた。「もう、楽になりたい。」という小さな声が、どこからか聞こえてきた。その音はいつからか、聞こえるようになり、得体の知れない恐怖感を、感じる瞬間だった。

女は男が他の女と別れたと、は思っていなかった。最初、他の女は、男に個人的なメールをよく送っていた。それを女が偶然、パソコンで読むようになった。男が会社で働く姿が、かっこいいと書かれていて、そんなメールが、頻繁に男に送られていた。そして、それに対処する男のだらしない姿に、女は、裏切られた気分になった。

ごく普通にある男と女の与太話だと、女は言いたくなかった。自分に起きた不躾なこと、許せないことだと、思うようになった。愛していない男と女が、夫婦という名目だけを残して、完全に、離れて暮らすことになった。

#G

女は一人でいる方が、良かった。寂しかったが、愛を求めない方が、心が安らぐと思った。耳元でささやきが聞こえてくるが、女は我慢できた。こうして、ただただ時間が、過ぎればいいなと、思いながら、一日一日を過ごした。見知らぬ街の生活にも、少しずつ慣れてきた。ある日、女の家族が、突然訪ねてきた。女は嫌だったが、親切に彼らを迎えいれた。

女の家族は、こうして一人で暮らせば、男が他の女と、付き合いやすいと言った。そして、離婚しても、男のせいだから、慰謝料は、しっかりもらうべきだと、平気で言った。女は思った。 この人たちは誰なんだろうと。女はもう自分を、訪ねて来ないでほしい、と彼らに言った。女は孤独感を感じながら、その夜、布団の中で泣いた。

一方で、陶芸の仕事が邪魔されず、女にとっては、それは最も楽しい時間だった。その時間だけは心の病も、女のそばに姿を現さず、静かだった。ごく普通の日曜日、女は工房を出て公園に行った。涼しい風が吹き、秋の空は高かった。広々とした空の上を、飛行機が飛んでいた。平和な空、遠くへ飛んで行きたい、空だと女は思った。そして女はふと、もうこれ以上努力して、生きていたくないと、思った。ただ自由でありたいと思った。 すべては、突然やって来た。女は男に「離婚したい、そして慰謝料はいらない。」というメールを、送った。

青い空があるから幸せだと、その瞬間、女は思った。とても単純な、理由だった。そして女は、診察を受けるために、病院に電話をした。男から、返事は来なかった。朝早く病院に行った。長い時間、医師と話をし、医師は一生懸命、治療してみましょうと言った。得体の知れない涙が出た。女は時給は高いが、適性に合わない仕事を、辞めた。

そして工房に行った。女の顔に小さな希望、という光が、流れた。男からの返事は来なかったが、女は決心していた。工房の先生が、台湾で展覧会をする、という話題で皆が、盛り上がっていた。工房の先生が、女に今回の展覧会を、サポートしてほしい、と言った。心の病を隠したかったので、女は躊躇した。
一ヶ月間の、台湾での生活が、心配だったからだ。
しかし、女はもっと勇気が、あった若い頃、青年海外協力隊に、行きたいと、思っていたことを、思い出した。そこで、先生の提案を、受け入れることにした。決断をした後、何か胸がキュンとするような、感覚があった。

女の耳の中で、小さなささやき、が聞こえた。女は言った。大丈夫だと。3日後、男から「離婚しよう。」という、メールが届いた。女は淡々としようとしたが、寂しさがこみ上げてきて、涙が溢れた。そして二ヶ月後、女は工房の先生と数人のスタッフと一緒に。展覧会のために、台湾に向かった。青い空が美しく、飛び立ちたい空だと思った。

そして5年が、経った。

女は、小さなカフェの中にある、長い棚の上に、陶器のコーヒーカップと、器を並べていた。異国情緒が漂う港街の、坂道の中腹にある、カフェには、コーヒーの香りが漂う。このカフェは3年前から、女が運営している、陶器カフェだ。値段の程良い陶器が、可愛らしく、ディスプレイされて、販売されていた。

 

女はもう、中年になりつつあり、献身的に、このカフェに、愛情を注いでいた。特に彼女が作ったコーヒーカップは、人気があり、遠方からも、注文が来るほどだった。女は今も病院に通っているが、
もはや恐怖はなく、自由を感じていた。

彼女には2匹の猫がいた。チェシャとアリスと、名付けた。不思議の国のアリスが道に迷った時「自分が行きたいところに、止まらずに進み続ければ、どこかにたどり着けるよ。」とチェシャ猫が教えてくれたからだ。アリスはチェシャがいるから、決して迷子になることはない。

女は行くべき道を黙々と歩きながら、青空が、教えてくれる道に立ち止まることなく、歩いていく。(完)

Rene「現代の寓話」web Top

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