幸せが、霞んでいく時代。だから、その欠片を探す旅に、出る事にした。
大人の役割
大人の役割

大人の役割

チョッと一休みしたくて、ネットフリックスで見る映画を探していたところ、アルパチーノ

主演の「Scent of a woman」が、お勧めで出てきた。懐かしさもありつつ、視聴を躊躇った

のは、もう、古くなってしまった感と、昨今の一連の状況から、ハリウッド映画の俳優に、

対する不信感が大きくなった私に、米国映画があまり感動を与えられずにいたという点だ

見ていて変なら、見るのを止めればいいだけなのに、そんなところに引っ掛かり、もじもじ

するのが私の性格だ。 面倒くさい性格と思われるが、仕方のないことだ。

しかし、なぜか何かに惹かれるように、私はこの映画を鑑賞する事にした。アルパチーノの、

名演技は有名で、圧巻のタンゴシーンでは、タンゴブームを起こすほどだったことは、覚えている。 

この映画が出たとき、私は大学生だった。 映画について友人と話している途中、「香り」という

単語を、「匂い」と話し、無粋(ぶすい)だと変な目で、友人が私を叱責したことを覚えている。 

映画の中の台本で、アルパチーノも「smell」という単語を使ったが、確かにニュアンスのない、

単語であることは間違いない。 それだけ人気があり、アルパチーノのファンから愛された映画だった。

立派だったがミスで、目が見えなくなった将校と、名門高校に奨学生として入ってきた貧しい少年、

との出会いが、彼らの運命を変えることになるという感動的なストーリーだ。

人生に対する希望を失い、拳銃で自殺を図ろうとする老人を、少年は全力で止める。 そして、

学校で起きた事件に巻き込まれ、窮地に追い込まれて、学校から追い出される状況に、

陥った少年を、アルパチーノは素敵な演説で助けてくれる。

眼はが見えないが、堂々とした彼の姿勢と、ウィットとユーモアのある言葉で周囲の人々を、

魅了させ、感動を与える。 そして、アルパチーノは善悪を正確に話し、大人たちが、

持つべき姿を見せていた。年を取るにつれて、昔の映画を見ると、見る場面が変わる。
素敵なタンゴだけでなく、忘れていた正当さや、保護しなければならない純粋な魂がある、

ということを、思い出させてくれた。 これ位はと、悪事を見過ごすことが、結局は、

二度三度へと、それを誘い、そのことが当たり前になっていく。

そして、一度捨てた良心と魂が、元の場所に戻ることは容易ではないということを、

物語っていた。それで、そのような良心と魂を、守らなければならない時がある事を、

教えるのが教育であり、大人たちの役割だということを示す映画だった。

社会が変わり文明が変わり、機能的や合理性は飛躍的に進化した。

しかし私たち人間の魂は、それほど、進化や変化をしなかったと、思われる。

それは、単に社会の変化に適応しろ、自分の価値観を時代に合わせろと、

指導するのが教育だと、思われる事が、巷に溢れているように、感じるからだ。 

そうしないと、人生が大変なことになるぞと。 しかし最近は、実はその反対、

ではないかという気がしている。

1月末だが、「今年の札幌の冬は、雪もあまり降らず気温も高く、歩道に雪が溶けて、

ぐちゃぐちゃになったのが、もう春のようだ。」と知人と話した。 

そして2月に入って、たくさんの雪が降った街が、白い世界になった。

“帳尻を合わせる”という言葉を、思い出させた。 悪いことがあっても、良いことが起きるのも、

このような言葉の中に、含まれるのかもしれない。 それで大変でも、熱心に生きなければならない。

そして今日、私はチーズスコーンを作りながら、また私だけの抵抗を続けているところだ。

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