
ゲーテのドッペルゲンガーの話は有名だ。 ゲーテは生涯で3度のドッペルゲンガーを経験したという。
ゲーテが21歳の時、一方的に婚約を解消を宣言し、後悔と煩悶に苦しみながら過ごしていたある日、
馬車に乗っていたゲーテは、向かい側から自分と似た人が馬に乗ってくるのを見た。
いや、似ているのではなく、鏡を見るように同じだったという。 違う点があるとすれば、
相手が、金色が漂う灰色の服を着たということだった。
「そのような不思議な体験を分析するために、当時失恋の痛みも考えられなかった」と、後日の回顧録に書いた。
そして8年後にゲーテは再び同じ道、同じ場所で過去の自分に似た人を再び見ることになった。
ところが当時、ゲーテは8年前に彼が着ていた服を着ていて、彼は他の服を着ていた。 これについてゲーテは、
「未来の服を選んだのは、純粋に偶然の一致だ」と回想した。 しかし、自分とそっくりな人に対しては、
死ぬ日まで疑問を抱いたという。ゲーテが故郷のフランクフルトを離れ、ワイマールで過ごした時のことだ。
ある日の夕方、散歩中に見慣れた故郷の友達に偶然会った。 友人はガウンを着て睡眠帽子をかぶったまま、
ゲーテのスリッパを履いて、走り回っていた。
ところが、その友達はフランクフルトにいなければならない人だった。 ゲーテがその友達に話しかけようとすると、
遠くに消えてしまった。 不思議に思いながら家に帰ってきたが、道で見た友人が同じ姿で寝ていた。
スリッパを見ると、出て行った跡は見えなかった。 友達を起こして訳を聞くと、友人は、
ゲーテに会いたくて、昼に来て家でずっと寝ていたと話した。
しかし、夢の中で街を歩き回ったらしく、でも寝ながらゲーテを待っていたという。
友人のドッペルゲンガーをゲーテが見たのか、友人が夢遊病患者なのかは分からないが、
これがゲーテが、経験したドッペルゲンガーの話だ。